「「町まるごと商品化」を進めるためのオンラインの活用について」奈良県広陵町議会2020年9月
広陵町議会、2020年度9月定例会のちぎた慎也の一般質問の2問目「「町まるごと商品化」を進めるためのオンラインの活用について」のやりとりです。
凡例
ち…千北
町…町長
次…事業部次長
目次
質問事項
「町まるごと商品化」を進めるためのオンラインの活用について
第1回目のやりとり
質問事項
- なりわいが主体となるオンラインショップを開設してはどうか。
- オンライン販売だけに留まらず、展示会のようなイベントをオンライン上で開催してはどうか。
質問の背景
ポイント
- 「広陵くつした博物館」はうまく広陵町のPRとなった
- 町内の中小企業は事業のオンライン展開を進めたがっている
発言内容(千北)
本年度より本格的に始動いたしました、一般社団法人産業総合振興機構「なりわい」主導でリニューアルオープンしていただいた「広陵くつした博物館」ですが、各種メディアにも取り上げられ、広陵町のPRに大きなプラスとなりました。一方で、「人が集まること」や「県をまたいだ移動」はしばらく忌避される傾向にあると推測されます。また、「中小企業小規模企業振興会議提言書」にも記載されている通り、町内の各種事業者が新たな販路の開拓、特にオンライン販売等を進めようとしていることが分かります。
しかし、全ての事業者がオンライン販売を進めていく体力やノウハウを持っているわけではないでしょうし、マーケティングや管理費の点からも非効率な点もあるかと思います。そこで、下記質問いたします。
第1回目の答弁(町長)
ポイント
- リニューアルオープンした「広陵くつした博物館」の売上は前年比2倍弱ある
- 「なりわい」が開設予定のホームページ上にオンラインショップを展開する予定である
- SNS等を通じた情報発信に努める
答弁内容
広陵くつした博物館は広陵靴下組合が平成元年に出店した靴下の店エアランドを30年以上を経て、全面的にリニューアルして令和2年6月1日にオープンしたものです。広陵町の靴下の歴史を紹介するパネルを展示するとともに、靴下事業者自社の自社ブランドの靴下を展示しています。7月1日からは展示する靴下の販売も行なっております。令和元年度から参加する10社が協議を重ね、運営方針や店名看板のデザインなどを決定し、県の補助金を活用して改装しております。くつした博物館の運営は広陵町産業総合振興機構「なりわい」が行なっており、今後、広陵ブランドの発信のため「移動くつした博物館」として町外のイベントへの出店を計画していると聞いております。リニューアル後の7月、8月の売上については、前年度比2倍弱と報告を受けており、順調なスタートをきり、町内外の方への広陵町産の靴下ブランドの発信について一定の成果が得られているのではないかと思います。町内飲食店を支援するための「かぐやチケット」のスタンプラリーの景品として「くつした博物館」から展示されている靴下を提供してもらうなど町してもブランド発信をしているところです。
先日、広陵町中小企業・小規模企業振興会議から頂いた「新型コロナウイルス感染症拡大に係る提言書」では、新たな販路開拓の必要性とデジタル化の推進が掲げられております。新型コロナウイルス感染症の影響で町内の靴下製造業においても売上減少が著しく、その対策としてOEMから自社ブランド製品の販売拡大へと注力されておりますので、町としても今年度に「なりわい」が開設予定のホームページの中にオンラインショップを展開することで、販路拡大を支援する仕組みを構築したいと考えております。ホームページはアクセス数を増やさなければ役に立ちませんので、SNSを活用した町内事業者の紹介やインターネットによるオープンファクトリーの開催など、町内外の方に周知する方法を検討し、本町の地場産業の知名度をアップし、なりわいの目標である、「町まるごと商品化」を推進してまいります。
2回目以降のやりとり
「広陵くつした博物館」の現状と今後の展開について
ポイント
- 「かぐやチケット」のスタンプラリーによる靴下の交換も好調
- 地域ブランドをみんなで作り上げ、来てもらえる施設にしていく
発言内容
ち)「町まるごと商品化を進めるためのオンラインの活用」ということについてご答弁を頂きましたけれども、まずは広陵くつした博物館についてもう少し聞かせてください。リニューアル後の8月の売上が前年度比2倍弱ということでしたけれども、具体的にはいくら売上て、靴下としても何足売れたのかっていうところの数字もあれば教えてください。
次)くつした博物館の売上ということでございますけれども、7月が11万程度、それから8月についても10万円程度売れていると思います。足数については今のところデータを持っておりませんので、あれなんですけれども、9月の1日からですね、かぐやチケットでの景品の交換が始まりました。今日現在でですね、交換があったのが256件ということで、合計5つのお店を回って頂いて帰っていただくという、そういうスタンプラリーを行ってるんですけれど、これについては256件ということで、あの皆さんはだいたい1000円から2000円の靴下を選べる選ばれる方が多いということでお伺いしているんですけれども、ただあの4000円以上の靴下も選ばれた方が、5、6件いてたということで、かなりいい靴下を置いておりますので、今は販売よりも景品の交換の方が多いということで聞いております。以上です。
ち)ありがとうございます。かぐやチケットは町内の方、あるいは町外の方も含めてくつした博物館のことを知っていただく良い機会になったんじゃないかなと思います。4000円の靴下を選ばれる、物の価値が分かる方もいらっしゃるんだなという風に感じました。
先ほどの青木議員からの質問に対する町長からの答弁でもありましたが、やっぱり施設というものは、行きたくなるような楽しい施設であり続ける必要があるんじゃないかなというふうに考えております。私からの質問の中で申し上げましたが、やっぱり人がいるとこに入ったりすることとか、外出したりする事っていうのはハードルが高くなる中で、それでもやっぱり来てもらえる施設、というものをグリーンパレスにおいていただくことで、あの場所にくつした博物館を設置した意味が出てくるんじゃないかな、というふうに考えておりまして、何回も来たいと思って頂けるような、季節性のある取り組みであったりとか、やっぱり広陵町であの博物館をやった甲斐があったよね、というような中身というものを整備していく必要があるんじゃないかなと思っております。何回も来たいというものに関しては、季節性という風に申し上げましたが、皆さんご存知かと思いますが、靴下もシーズンがございまして、冬になればちょっとモコモコしたやつが流行るとか、夏はやっぱり麻、リネンですね。涼しいものを作ったりとかっていうものもあります。ですので、そうした季節の内容をちゃんと整備してPRしていけば、コンスタントに足を運んでいただける場所になるんじゃないかなと思っております。スペースの問題もありますので、どこまでできるか分かりませんが、例えば、くつした博物館で靴下の生地に触れられる、であったりとか、あるいは機械を実際に触って、手回しの織機とかを触って、実際にオンラインだと絶対に体験できないような価値、というものをあこに設けることができれば、あえてきてもらえるようなくつした博物館というものが作れるんじゃないかな、と思ってるんですけれども、その辺に関してご意見お聞かせ下さい。
次)色々なご提案どうもありがとうございます。確かにくつした博物館ですね、場所が小さくてですね、機械が置けるのかと言われましたら、なかなか難しいところではございます。私どもといたしましてくつした博物館の場所に来ていただける、というのは知名度の問題だと考えておりまして、広陵の靴下というものがどこまで知名度があるのか、というところだと思います。今年度、近畿経済産業局の地域ブランディング実践支援事業というところに、商工会とともに手を挙げさせていただきまして、採択をいただきました。これは何かと申しますと地域商標登録をするためのアクションプランを作成をしていただくものでございます。靴下業界の事業所みんながですね、広陵町の靴下というものを団体の地域商標登録をしていこうという取り組みをしていくというプランでございます。することは別に簡単にできるんですけれども、その取り組みの中で、みんなが一つになって、みんなでこの広陵の靴下を良くしていこう、というところが一つの狙いでございます。やはり、この靴下博物館を作らせていただいたことで、それぞれの事業所がいろいろと意見交換ができて、そういう場を持てるというきっかけになったかと思いますので、これを活用させていただいて、靴下を地域団体商標登録を取らせていただくというところで、進めていきたいと思います。これを取った暁には、やはり広陵町の靴下はええでと。地域ブランドというのはやはり暖簾でございますので、広陵町の靴下の暖簾をちゃんと守っていただく、そういう仕組み作りもきちんとさせていただければと思います。その中で、広陵の靴下見たい。是非とも見たい。どうやって作ってんねん、というところで、くつした博物館に来ていただくと。そういう何かの仕組み作りができたらな、と考えております。以上です。
なりわいに開設するホームページについて
ポイント
- 「なりわい」のオンラインショップの広報においては、Youtuberの起用であったりとか、SNSの活用も検討する
- オンラインショップでは、業者向けの部分と、店舗としてお客さんに販売する部分と棲み分けて考えていく
発言内容
ち)ありがとうございます 。しっかりとブランドを守っていただきつつ、PRをしていただくというのは非常に重要なことかと思います。そこで、中身を作ったあとでどうやって発信していくのかという部分ですね。坂口議員の一般質問でもありましたが、この辺ちょっと本町が弱い部分かなと思います。発信していくための提案とし一つ挙げていきたいなと思います。山梨県の例なんですけれども、山梨県ではですね、実は県のYouTubeのチャンネルというものを持ってらっしゃるんですけれども、そこのPRリーダーに中学生のユーチューバーを起用(「山梨県在住の人気YouTuber MINAMI(みなみ) さんが「山梨チャンネルPRリーダー」に就任!」)しまして、今月から動画のアップロードしていってるんですけど、その女の子がですね、SNS全部合わせて160万人ぐらいフォロワーがいてですね、外としっかりタイアップをしていきつつ、弱いところは補っていただいて、本町としてはしっかりとブランディングを進めていく。守るべきところはしっかりと守っていくところが重要だと思うのですが、そうした、外としっかりタイアップをしてPRを行っていくという計画はお持ちでしょうか。
次)今年度なりわいにおいてホームページを作成する予定という風に聞いております。このホームページはありきたりのものではなく、個人では個人として購入ができる、事業所については自分達の良さを見せていただいて、商談ができるようなものを作ってはどうか、というご提案をいただいております。その中で、千北議員からご提案いただいたようにユーチューバーを探してくるのか、何かSNSでも強い発信をしていただけるような方を探して、全国に発信できたらなという風には考えておりますので、私はなりわいのホームページに期待をしております。以上です。
ち)ありがとうございます。私も毎日広陵町の靴下履いたり、つけたりしてまして、ものが良い、というのはやっぱり自分としては感じているところであるので、やっぱりそれをどうやって広げていくのか、ということが重要になってくるかなと思います。今のご答弁や最初のご答弁でもいただいておりますが、ホームページを作られるということで、これは今商談がどうこうというお話もされてましたけれども、各店舗さんが、自分の店舗をまとめてそのホームページに出せるような、楽天とかAmazonみたいな使い方もできるという認識でよろしいでしょうか。
次)その通りでございますね。業者たちとの商談のところでは、何か履き心地であるとか、機能性であるとか、生地であるとか、そういうキーワードをですね揃えまして、そこから商談に入っていけるような、何か探してるものが、ここに来てくれれば、靴下の機能・素材・全てにおいて見つかるような、そういうような仕組みにしたいということで聞いております。
ち)ありがとうございます。BtoB向けといいますか、業者向けのサイトの中身としてはおっしゃっていただいたように機能とか、あるいは素材というところから調べて商談に行けるという形が好ましいと思うんですけども、BtoC向け、お客様向けのところは、やっぱり行って買いやすいとか、あるいは買い物を楽しめる、というサイトのデザイン等が望まれると思いますので、そこはちょっと切り分けて考えていただけた方がいいかな、と思っております。
来年度からKoCo-Bizが立ち上がりまして、センター長も決定されたということで、センター長に選ばれた方が海外でもしっかりとブランディング・マーケティング等を行ってきて、そういった畑に強い方だというふうにお伺いしております。むしろ本町の事業者さんが弱いのがそこらへんかなと思っておりまして、もちろん、自社ブランドを作って海外にも売って行ってらっしゃる事業者さんもいらっしゃいますけども、やっぱりOEMをしてらっしゃった事業者さんが多いということで、自分たちでマーケティングを行って、ブランディングをして、そして販売まで行っていく、というところが一番苦手な所なんじゃないかなと思っておりますので、今回作って頂くサイトでその辺をKoCo-Bizのセンター長とも一緒になってですね、プッシュしていただければいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
次)KoCo-Bizのセンター長におきましては服飾系が専門でございますので、その方の力をお借りしてですね、なりわいは単なる販売のエンジン/プラットホームという形で考えております。頑張るのは事業所、事業所。それぞれの事業所ががんばらないとこの町の広陵町の靴下の産業は守れないと思いますので、その一生懸命頑張っている靴下事業者に対して稼ぐ力を掘り起こす。それから販売力を促進させる、という意味でですね、KoCo-Bizのセンター長の色々な知識の中でですね、私たちも運営して行きたいな、というふうに考えておりますので、これからはご協力の方色々賜るかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
オンラインイベントの開催について
ポイント
- 従来のやり方に拘らないイベントの運営方法を考えていく
発言内容
ち)ありがとうございます。しっかりアイディアや意見を出させて頂くと同時に、しっかりチェックもさせていただきたいと思います。そしたら、なりわいで作っていただくオンラインショップに関しては以上とさせていただきまして、最後、触れていた展示会に関してですね、本町で毎年行っておりましたイベントというものも、今年は基本的にやらないということになっておりまして、商工会が担当されている場所でもあるかと思うんですけれども、なりわいとして靴下市の新しい形での再現であったりですとか、あるいはかぐや姫まつりの新しい形というもので、考えてらっしゃることがあればお伺いしたいと思います。というのも、この二つの大きなイベントと申しますのは、靴下市だと「靴下」という名前がついてますが、他の事業者さんも参加していただいて、広く町内の事業者さんにご商売いただけるものだったかと思うんですね。例であげますと、NPO法人でさをりを織っていらっしゃるような事業者さんにも、出展して売ったりもしてらっしゃいましたし、そういう様々な事業者さんが関わっていたものですので、(イベントが無くなったことで)町内の事業者さんの販売の場というものが、なくなってしまったんじゃないかな、と思っておりまして、そうしたものを再現して行く、幸い靴下市とかぐや姫まつりは知名度は十分にございますので、オンラインであれ、開催するということを打ち出せば、それなりの集客が見込めと考えておりまして、その辺について実現可能性と言うか考えてらっしゃることについてお伺いさせて下さい。
次)販売につきましては、いろいろなところ、靴下の市であるとか、かぐや姫まつりであるとか、そういうところで販売をしていただいてたものにつきましては、やはりなりわいは「町まるごと商品化」というキャッチフレーズのもとやっておりますので、そこのネット等を使った販売ツールで靴下以外のものについても、売っていけたらな、という風には考えております。ただ、かぐや姫祭り、それから靴下の市、今回靴下の市も開催するかどうかというところで、かなり商工会もいろんな方法を模索をさせていただきました。しかし、やはりなかなか三密が防御できないのではないかということで、断念されたわけなんですけれども、かぐや姫祭りも、今までと同じようなやり方で来年できるのか、というところもございますので、それは実行委員会等もございます。その中でしっかりと意見を交わしながらですね、協議をしていただけたらな、と思います。またもし良いご提案があれば、ご提案の方もよろしくお願いいたします 。
ち)当然ハードルが高くなってくるんですけれども、是非従来のやり方に囚われない開催方法もご検討いただければいいかなと思います。ありがとうございました。