「豪雨災害に備えた継続的な啓発活動と災害時の情報発信について」奈良県広陵町議会2020年9月

広陵町議会、2020年度9月定例会のちぎた慎也の一般質問の3問目「豪雨災害に備えた継続的な啓発活動と災害時の情報発信について」のやりとりです。

凡例
ち…千北
町…町長
総…総務部長
企…企画部長

質問事項

豪雨災害に備えた継続的な啓発活動と災害時の情報発信について

第1回目のやりとり

質問事項

  • 「IT防災無線受信システム実証実験」の現状と今後の計画について。
  • 避難行動判定フローをホームページ上の分かりやすいところに掲載すべきだと思うがどうか。
  • 災害時の情報発信について、6月議会での吉村副議長からの一般質問にて、「防災無線、ホームページ、エリアメール、フェイスブック、ライン等のツールも活用」していく、との答弁があったが、これらのツールは広陵町役場が被災したときにも十分活用できるものなのか。

質問の背景

ポイント
  • 12時間に316mmという雨は十分発生し得る
発言内容(千北)

 豪雨災害につきましては、金曜日の堀川議員、山田議員、そして先ほど質問された青木議員の質問でも取り上げられておりました。本町におきましても2015年に改正された水防法を踏まえハザードマップ(広陵町洪水ハザードマップ)が刷新されました。こちらで想定されている最大規模の降雨は12時間で316mmであり、およそ1000年に1度ということになっています。非常に発生確率が低いように感じられますが、令和2年7月豪雨では、熊本県水俣市で12時間の間に400mm以上の雨が降っています。また、平成30年7月豪雨でも、複数の地域で12時間の間に300mm以上の雨が降っています。
 当然、地域性による降雨量の差異は考慮すべきですが、まさに今年7月の『広報 こうりょう』の表紙に記載されていたように12時間で316mmの大雨は「いつか、必ず」起きるものだと考えておく必要があります。そこで、以下質問いたします。

 

第1回目の答弁(町長)

ポイント
  • まずは、5大字50件を対象に、「IT防災無線受信システム実証実験」を開始し、改善点を洗い出す
    ※IT防災無線受信システム…町からの避難情報を家庭のテレビに表示する仕組み。避難時に支援が必要な方と支援してくださる方に情報を届けることを目的とする。
  • 「避難行動判定フロー」はホームページのトップページに配置した
  • 町からの各種情報発信ツールは役場が被災しても使うことができる

 

答弁内容

 一つ目の「IT防災無線受信システム実証実験」の現状と今後の計画につきましては、吉村眞弓美議員の答弁と重複いたしますが、実証実験にご協力いただくとして地区として、浸水想定区域の萱野区、南区、弁財天区、的場区及び大場区の5大字を選定し、各大字区長へ協力依頼を兼ねた説明会を実施させていただき、それぞれの区の役員、自警団員、災害時避難行動要支援者を対象に、全部で50件程度の協力者を選任していただきました。今後は、本実験実習を行うためのシステム構築を技術提案者と業務委託契約を締結し、9月30日に実施予定の災害対策本部運営図上訓練において、避難情報発信を併せて実施する予定です。
 実証実験の内容としては、構築したシステムからインターネットを介して、町からプッシュ式で地域の協力者宅のテレビに、災害に備えた準備をお願いする情報発信、続いて当該地域で水災害が発生するおそれが生じたという仮定で、危険な場所から高齢者等避難開始の「警戒レベル3」情報を発信し、最後に、危険な場所から全員避難の「警戒レベル4」情報を発信します。これらの情報発信が適時適切な伝達が行われたかどうか、また、受診時においての課題等についての実証実験を実施するものです。
 最近の想定外の災害が頻発する中、広陵町にお住まいの災害時に支援が必要な方を確実に安全な場所に避難する仕組みが必要だと考えておりますので、本実証実験の結果を踏まえて、改良すべきところがあれば改良に改良を加え、本格導入を目指す所存です。今後の取り組みとしては、今回実施した5大字を含め他の浸水想定区域に拡大していきたいと考えております。
 なお、本システムは、防災情報発信のみにとらわれず。町の様々な情報提供や、今般の新型コロナウイルスの情報提供などにも応用できる可能性があり、今後のシステム開発状況に応じて更なる用途拡大やシステムの導入拡大に向けて検討を進めてまいりたいと考えます。
 二つ目の避難行動判定フローをホームページをの分かりやすいところに掲載すべきとのことにつきましては、ご提案の通り住民に伝わりやすくするためにホームページトップのバナー部分に避難者情報とともに掲載させていただきました。今後も住民にわかりやすい情報発信に努めてまいります。
 三つ目の役場が被災した場合の防災無線、ホームページ、エリアメール、SNS等の活用につきましては、本町の防災無線は携帯用補助機を完備しておりますので、役場が被災しても屋外から町内全域に対する放送できるようになっております。また、ホームページやエリアメール、Facebook、LINE等のSNSにつきましては、インターネット環境があるところであれば、どのパソコンやスマートフォンからも発信することが可能であります。
 今後は、これらの情報発信をそれぞれに行うのではなく、一括発信ができる仕組みを検討してまいります。

 

2回目以降のやりとり

IT防災無線の今後の展開について

ポイント
  • 浸水想定が3m以上の地域への展開を検討する
  • 費用の補助等も視野に入れて検討していく
発言内容

こちらも冒頭でも申し上げさせていただきました通り、堀川議員、山田議員、そして、青木議員のご質問がにもございました通り、やっぱり(今年)7月の雨を受けまして、降るんだな、ということがすごく実感として湧いてきたところでございます。また、堀川議員が具体的に説明してくださってように8月の末にあった、1時間に50mmの雨が降ったものでも、斉音寺が水に浸かってしまったりでありますとか、雨が降って水に浸かるというのが身近なもので、千年に一度という基準が設けられていようが、やっぱり自分たちの身に起こることなんだな、というものを深く感じたところが現れているのだと思います。というところで、追加のご質問なんですけれども、いただいたご答弁の中で「IT防災無線」に関してですね、今回実施した5大字を含め、他の浸水想定区域にも今後拡大していきます。というようなご答弁を頂いたんですけれども、これ具体的にですね、ハザードマップで言うと紫とか青とかあると思うんですけれども、具体的にはどの色の地域に該当するのかというところをご回答いただいてよろしいでしょうか。

対象の区域をどうしていくのか、というところですけれども、その辺りは今後また検討したいと考えておりますけれども、基本的には紫色と濃い水色の部分が対象となってくるんじゃないかと思います。床下までは、と考えていて、床上からはと思ってるんですけれども。

ありがとうございます。基本的には床上以上で、(浸水想定が)3mより上ということですかね、ありがとうございます。対象地域を拡大していくということなんですけれども、これは拡大された地域の方々は、町の補助でハードの機械等が設置していただけるということなんでしょうか。

今回実証実験といたしましては、全て町の費用、これは国の地方創生臨時交付金を活用させていただいておりますけれども、今後につきましては、町全体に広めていくにあたりましては、一定は、機械代をどうするのか、という問題を含めてご負担いただくことが出てくるかと思いますが、それは今後検討させていただきたいと思います。

ありがとうございます。仕組みを作って切ってしまうと、制度の狭間というものがまた出てきてしまうと思いますので、ある程度基準を作りつつも、手を挙げた方を広く対象に含めていただくような運用にしていただいた方がよいと思います。実証実験の結果を見てその辺ご検討進めていただければ、と思います。

 

ホームページを通した防災情報の発信

ポイント
  • ハザードマップをWeb上でより見やすくできるように検討していく
  • ホームページは早くて2021年の4月、5月あたりにリニューアルをする

災害時の情報発信についてご質問させていただいておる所でございまして、ハザードマップも今回は紙で作って頂いて、これはのメンテナンスした時に更新が紙になってしまったりでありますとか、あるいはホームページに行かないと見れないであったりとか、自分達のいる場所がわからないと使いにくい部分があるのではないか、と思っております。先ほど吉村眞弓美議員の一般質問のときに出てきました、桜井市はですね、Webのハザードマップを公開桜井市Web版ハザードマップ)されておりまして、そんな取り組みをされている自治体もあるんですけれども、Webのハザードマップに関する現状のお考えをお聞かせ頂けますと幸いです。

今現在は(ハザードマップの)地図のデータそのものをホームページに公開させていただいておるんですけれども、(その桜井市のWeb版ハザードマップは)おそらく今いる場所を地図上でどこか、それを持って浸水想定区域が分かるような仕組みになっておるものだと思います。私どもも検討しておらなかったですけれども、そんなところも踏まえながらWeb上で見やすい仕組みはどうなのか、というところを考えていきたいと思います。

ありがとうございます。本当に細い道まで、道がよくわかる方なら、今自分がどこにいるのか、ということがよく分かると思いますが、そうじゃない場合は今どこにいるのか、が分からないこともあるかと思いますので、外に出てるときに、Webのハザードマップは非常に有効になるのではないか、と考えております。
 一般質問で挙げさせていただいておりました、避難行動判定フローをホームページの見やすいところに掲載したらいかがですか、という件ですが、今朝確認したらリンクが掲載されていたので、見間違いだったのかな、と思ったのですが、(答弁を見ると)ご対応いただいたということでありがとうございます
 この辺ですね、ホームページが見にくいというのは、岡橋議員の一般質問でも出されていたことで、私も過去の一般質問を見させていただいのですが、(同様の意見が)散見されました。じゃあ、どういう風に改善していけばいいのか、というところですが、今のホームページが見にくいかどうか、という点も重要ですが、私としては、可変性が高いホームページであるかどうか、そういう作り方になっているかどうか、が重要になってくると考えております。今は、お知らせというか、記事の内容、ですね。をみなさんの方で作成いただいて公開する、ということができるようになっていると思います。ですが、トップページのレイアウト等を柔軟に触っていただけるような形にはなっていないのではないか、と考えております。例えば、トップページにスライダーが出てありますけど、あれの上に一番出したい大事な情報を出すようにしていく、でありますとか、今避難行動判定フローがテキストのリンクで出ておりますけど、やっぱり、文字でざーっと流れてくると、人というのは中々解りづらいと思いますので、写真やアイコンを使って分かりやすく表現するといったような、レイアウトを変えられるというようなことが重要になってくるかと思います。その辺踏まえまして、今のホームページに対する考え方をお聞かせください。

ただいまの千北議員のご質問にお答えさせていただきます。これまでも広陵町のホームページについては、多くの議員の方から、見づらい、情報が取りにくいと。当然住民の方々にもご迷惑をおかけしておるところでございます。ちょうど現在のホームページのシステムが今年度末まで、となっておりまして、早くて来年の4月、5月あたりでホームページがリニューアルできるものだと考えております。そのための準備を今やっておるところでございます。それぞれ、早い流れの中で流行り廃りがございまして、少し前までは、いわゆる検索エンジン的な感じでですね、例えば、「子育て施設」と文字を入れて、そのための検索ボックスがホームページのトップページにあって、そこに検索したい文字を入れることで初めて、それ(目的のページ)にダイレクトに飛ぶというような、役所のホームページがあったりとかですね、で、こういう緊急時には、画面が通常時とは全く変わって、おっしゃってるような、本当に知りたい情報をすぐ確認できる、という用な様々なやり方がありますので、その辺りは今色々な所を研究しておりますので、その時に1番良いものをですね、提供できれば、と思います。
 それからの情報提供、情報共有ですね。住民の方としっかり情報共有ができるような、その情報のあり方、載せ方をやっぱり進めていく必要があると思います。ここはあの来年度4月から自治基本条例、施行させて頂く予定でございます。これまでの「情報提供」から一歩踏み込んだ「情報共有」という概念で、現在条例の整備を目指しておりますので、その辺ともしっかり考えながらですね、ホームページの方の整備を今年度末までになんとか進めてまいりたいというふうに考えています。

ありがとうございます。良いタイミング、切り替えということで、流行り廃りというのも大事にしていただいて、是非策定していただくプロセスに広く町民の方にも参加、「参画」していただいてですね、受け取る、あるいは情報共有される町民の方々が見やすい、それこそ(見に)行きたいと思えるような、構成というものを目指していただければいいかなと思います。まあ、ちなみになのですが、本町はSDGs未来都市ということもございまして、ユニバーサルデザインを意識していただければいいかなと思っておりまして、読み上げ機能もどこかのご答弁で申し上げられていたことかと思いますが、また、色弱の方の対策、対応ですね、背景の色を黄色とか、青色に変えることによって、色弱の方でも見えるようにするといったような方策も検討いただければいいかなと思います。

 

役場被災時の情報発信について

ポイント
  • 通常時はホームページは役場からしか更新できないが、災害時は外部からでも更新できる
発言内容

引き続きホームページについてご質問させていただきたいと思います。頂いた御答弁の中でですね、今使っている防災無線等のやり方が役場が被災した時にも使えるのか、というような質問をさせていただきました。「ホームページやエリアメール、Facebook、LINE等につきましてはインターネット環境があるところであればどのパソコンやスマートフォンからも発信することが可能であります」という内容のご答弁をいただいたんですけれども、先日立ち話程度なんですけれども、今コロナウイルスの情報で、土日に本町の中で感染者の方が見つかった時にもホームページを更新して頂いてると思います。これは非常に素晴らしいことだと思っていたので担当官に聞いてみたんですよ。「土日やけどあの更新どないしてるん」と聞いたらですね、「役場に行って更新してます」という風な回答いただいたので、ご質問として挙げさせていただいたというところがあるんですね。なのでまず、少なくともホームページに関しまして、どのパソコンやスマートフォンからでも発信することができるような状況に今なってるのか、という点について、もう一度お答えいただければと思います。

役場のホームページですけれども基本的にはセキュリティ機能を強化しております。家のパソコンからでも理論上は行けるんですけれども、平時におきましてはセキュリティを高めております。と言いますのは、自治体のホームページは改ざんされてはならない、という風に感じておりますので、そこらは一定のセキュリティを保ったまま、平時は運用をしております。ただ、災害時につきましては外からのパソコンでもアクセスできるようにそれを解放するという形を取っておりますので、今は平時ですので家からは更新できない、というような具合でございます。

ありがとうございます。本当に開放ができるのか、ということを確認いただく前提として、リモートワークを推進していく、という観点からいたしますと、やっぱり土日も役場に来ないと更新できない、というのは不健全だと考えておりまして、一つ事例を紹介させて頂きます。私先日ですね、オンラインの行政視察というものに参加いたしまして、福島県の磐梯町(磐梯町ホームページ デジタル変革戦略室)っていう、会津市の西くらいにある小さな町があるんですけれども、ここはすごくいわゆるデジタル変革「DX」が進んでおりまして、日本で初めてCDO、Chief Digital Officerですから、最高デジタル責任者という役職を、町役場の中に置いたという役所なんですけれども、ここで実施されていたこととしてですね、もちろんセキュリティは重要なので、そうしたセキュリティの担保された大事なデータとかが入ってるパソコンは役場内においておいて、そのパソコンにリモートでアクセスできる端末、で中身には何も入っていない端末で(役場内の端末に)アクセスだけできるという端末を家に持って帰ってもらって、それで更新をかけれるようにする、といったような対策をなされておりました。磐梯町に関しましては、情報変革を進めていくための体制というのも面白いやり方を取っておりましては、今回山村議員の答弁の中で、役場の縦割りについてご答弁ございましたけれども、磐梯町では別途、CDOの下にデジタル変革を進めていく部署を作って、全庁的にDXを進めていくという体制を取られておりましたので、是非一度オンラインでの行政視察、ですね、随時受け付けておりますので、参考にしていただいたらいいかな、と思いました。
 すいませんちょっとあの最後20秒だけお話しさせていただきます。今回冒頭で、斉音寺の池が溢れたというお話もさせていただきましたけれども、こういう時に重要になってくるのは池が溢れたという情報を早く吸い上げて、その情報を早く町民の皆様に展開することだというふうに考えておりまして、1時間しかない時間の中で、いかにその情報を吸い上げて発信していくのか、という観点から6月に私が申し上げた仕組みの構築というものを早期に進めていただけたら、と思います。ありがとうございました。

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