「新型コロナウイルスの影響による教育格差の拡大に対処する」奈良県広陵町議会2020年9月
広陵町議会、2020年度9月定例会のちぎた慎也の一般質問の1問目「新型コロナウイルスの影響による教育格差の拡大に対処する」のやりとりです。
凡例
ち…千北
町…町長
教…教育長
局…教育委員会事務局長
目次
質問事項
新型コロナウイルスの影響による教育格差の拡大に対処する
第1回目のやりとり
質問事項
- 休校に伴い、本町でも教育格差の拡大は見られるか。
- 教育格差が拡大している、または拡大するおそれがある場合に、本町においてどのような対策を取っていくのか。
- 文部科学省が学校再開後の人材確保のために開設した「学校・子供応援サポーター人材バンク」を積極的に活用してはどうか。
質問の背景
ポイント
- コロナの影響で5月7日から約2か月間学校が休校となった
- 学習過程を修了は夏休み等を充てることで見通しが立ってきた
- しかし、学習習慣の乱れや授業の進行速度が上がったことを受けて、教育格差が拡大するおそれがある、というデータがある
発言内容(千北)
新型コロナウイルスの影響による教育格差の拡大に対処する。と題しまして、ご質問をさせていただきます。先ほどからも申し上げております通り、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するために、約2か月間小中学校が休校になりました。5月7日から学校を再開し、夏休みも短縮しながら学習の遅れを取り戻すために取り組んでいただいております。教育現場の先生方や教育委員会の方々のご尽力のおかげで年間の教育課程の修了につきましては目途が立っていることかと思います。
一方で、休校の影響で教育格差が拡大している、という調査(参考:「新型コロナウイルス感染症によって拡大する教育格差」三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)が見られます。オンラインで学習ができる様々なサービスが公開されておりますが、各家庭のインターネットや情報端末などのインフラの差や情報感度の差によって、子供達の家庭学習に大きく差が出るものと考えられます。また、低学年の児童ですと、そもそも学習習慣がついていない状態では家庭学習を進めることは難しいでしょう。そうすると、今までもきちんと学習していた子供は変わらず学習するが、学習習慣がついていない子供の学習時間が少なくなってしまうと考えられます。
したがって、教育格差を是正するために、比較的息の長い取り組みを行っていくことが求められると考えており、以下質問いたします。
第1回目の答弁(教育長)
ポイント
- 子供達は現状は比較的落ち着いた学校生活を送れている
- 現状教育格差の拡大は見られない
- 「子供たちの健やかな学びを保障する。」ことを主眼に取り組む
- 指導員の補充は様々な仕組みを利用つつ努める
答弁内容
千北議員さんの新型コロナウイルスの影響による教育格差の拡大に対処する、のご質問にお答えをさせていただきます。まず一つ目の、休校に伴う本町での教育格差の拡大についてお答えをさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止として周知の通り4月、5月と2ヶ月の長い学校臨時休業となりましたが、その間学校においては、訪問や電話による子供達の体調等の把握や学習面での課題配布やその回収を行い、できうる教育活動を行いました。
オンラインでの学習を実施された自治体もあることは承知しておりますが、本町におきましては、インターネット環境がすべてのご家庭で整っていない状況もあることから、課題プリントや北葛城郡で共同で作成した学習支援のDVD配布を行い、児童生徒全員が少しでも学習に取り組めるよう努めさせていただきました。学校再開後においては、夏季休業期間の短縮によって授業時数を確保し、今まで以上にタブレット等の情報機器を活用した分かりやすい学習を行うなど、授業内容を工夫して教育活動を行っている状況です。
暑いさなかではありますが、子供達も元気に登校し、比較的落ち着いた雰囲気の中で学習活動が展開できていることから、現時点では、教育格差の拡大には至っていないと考えておりますが、教育格差や子どもの変化は長期にわたり把握していく必要がありますので、今後も子どもたちの状態をしっかり確認するよう取り組んでまいります。
二つ目の教育格差が拡大するおそれがあることに対する本町の対策ですが、「子供たちの健やかな学びを保障する。」ことを軸として、あらゆる状況においても迅速に対応し、学びを止めないことをもって対処してまいりたいと考えます。
先にご質問のあった坂口議員にもお答えをしておりますが、今回の新型コロナウイルスの影響を受けて、学びの保障に向けた具体的な事業として、「学習支援員の加配」や「広陵放課後土曜塾」、「かぐや学習支援教室」を実施し、児童生徒の基礎基本学習の定着を図るよう対応しているところであります。
また、笹井議員のご質問にも「新しい学校のスタイル」の項目で答弁させていただいたように、GIGAスクール構想の早期実現も学びを止めない対策の一つで対策の一つであると認識していますので、ネットワークの環境整備についても早期に着手してまいります。
三つ目でご提案の、国が開設した「学校・子供応援サポーター人材バンク」につきましては、県からの情報を受けて、条件面において今回の学校再開に伴う学習支援として実施している各事業とのマッチングについて既に確認済みであり、有効活用させていただきました。
先日、面接を行い、「広陵放課後土曜塾」の支援員と学習指導の加配である「TT 指導員」として、当面、今年度末までご協力をいただく予定となっています。以上、答弁とさせていただきます。
2回目以降のやりとり
タブレット端末等の整備状況について
ポイント
- タブレットは2020年10月末あたりに町内の全小中学生に配布される
- できるだけ早期にWi-Fi環境の整備も行う
発言内容
ち)様々な対策を実施していただいておりまして、そのおかげで学校の子供達も安心して学校に通えていることかと思います。まずは、GIGAスクール構想について2点質問させていただきます。
ネットワーク環境の整備について、早期に着手してまいります、とご答弁いただきましたけれども、これに関してタブレットは来月末(10月末)あたりに入ってくるというお話を9月議会の初日にいただきましたけれども、ネットワークに関しても大体の整備の日程がわかっていたら教えただけますと幸いです。
局)お答えを申し上げます。先だって指名審査会におきまして、業者を選定して、入札すべく、入札に参加していただく業者を決定させていただきました。そのような所から最短で実施をさせていただきたく存じますが、実際の仕様ですね、少し細かい話になって恐縮でございますが、やはりWi-Fiのアクセスポイント、全ての教室に30人なら30人の子供が、教室で全て動画を見ると。その教室が2つ、3つ続くというような、最大の使い方をした時にちゃんと繋がるように、というような観点からの実施をさせて頂いております。出来る限り早く整備をしたいと思います。一応あの発注する工期につきましては一応来年の3月ということになってございますけれども、そこまでに早く対応をさせていただくことができるように色々やらせていただきたいと考えてございます。
ち)しっかり仕様を詰めて頂いた方が、後から直す方が大変だと思うので、その辺はきちんとご検討いただきたいと思います。その辺りの検討も含めて「GIGAスクール構想推進委員会」を各学校に設置し、議論がなされていることかと思うんですけれども、そちらの委員会の議事録というものは、都度作成頂いて我々も参照できるような形で残していただけますか。
局)詳細の議事録というものはそこまでは取っておりませんけれども、会議の顛末と、今の段階では意思決定の内部的な要因もございますので、今の段階で仮にお見せをしたとしても何ら問題のあるものではございませんけれども、そういう形の顛末と。A小学校のB先生が具体にこのような発言をされたという詳細ではございませんが、概要の顛末でございます。以上です。
学校における指導員の確保について
ポイント
- 小中学校合わせて7名の指導員を追加
- ツールが増えた際の管理コストはRPA等の活用で削減・効率化していく
発言内容
ち)はい、ありがとうございます。概要であったとしても今回イレギュラーな対応を迫られていることかと思いますので、プロセスできるだけ残していただいて、今後の資料となるようなものを残していただければいいかなと思います。
ではGIGA スクール構想からもう少し進んでまいりまして、教員の加配であったりとか、あるいはのTT(チームティーチング)の指導員の確保というものに努められていることかと存じます。確か坂口議員へのご答弁で、教員の加配に関しては、講師として登録されている方が多くなくて、真美ケ丘第一小学校学校に一人でしたかね、が配備できて、アシスタントが中学校と小学校にそれぞれ4名ずつ配置という話だったかと思うんですけど、その辺の数字もう一度教えていただいてもよろしいですか。
教)実際のところですね、今のところとりあえず小学校・中学校で合計8名という形で答弁させていただきましたけども、実際のところ、今ところちょうど7名配置させて頂いてて、ちょっと一人が結局駄目になった状況がありますので、広陵中学校の方が一人だけ配置というような状況でございます。すぐにもう一名を何らかの形で追加させていただきたいと思っております。
ち)ありがとうございます。この数字が現実的に見てサポートする要員として足りてるかどうかっていうところをですね、教育委員会の立場と役場の立場とあると思うんですけれども、特に制限とかなければ、理想的にはこのぐらいの人数配置したい等があれば、お教えください。
教)確かに理想で言えば、支援員はたくさん居れば子供達への教育効果も多いと思います。これも国からの補助も受けておりますので、そういう意味の中で、どこの学校に、ということで、小学校2校、中学校2校ということで、小学校は5校ありますので、その中でも比較的、30人以上の学級に対して支援を入れていこうということで、30人以下の学級については、学級の先生で対応していただいているという状況がございますので、そういう意味での、8名という数字になりました。そういうご理解いただけたらと思います。
ち)ありがとうございました。少な過ぎる、というわけではなく、もっと多くすべきであればその旨を伝えていただきたかった、という趣旨での質問でございました。
30人以上、以下というところで、一旦線を引いていただいているかと思うんですけれども、今回はコロナウイルスへの対応が迫られるということで、ご答弁でもございましたが、現状では、教育格差は見られないものの、やはり息の長い観察をしていく必要があるということでした。しっかりと各子供のみんなに目を届かせていこうと思うと、例えば27人のところを一人で大丈夫なのかって言われたら、先生も短くなった期間の中で、教育課程を修了して行こうとしなければならないわけですから、やはり難しいところがあるんじゃないかなと思います。ですので、その点もう少し基準を緩めていただいてですね、30人を切っていたとしても一人は指導員を配置できるな形で進めて頂いた方が良いのではないかなと思います。
というところで、予算の問題もおっしゃっていただいたように、一つあると思います。もう一つ人員確保というところも問題としてもあるかな、というふうに考えております。もちろん実際に講師を加配するとなると、非常にハードルが高いもので、講師登録されている方があまりいなかったということでございました。
では、サポーターなら結構いるのかと言われれば、意外とそんなことはないと思っておりまして、県や国の制度を利用するだけではなくて、町内にいらっしゃる方々にも、もう一度お声がけをしていけば、(サポーターとして)登録はしてないけれども、町でなんか役に立てるならやってくれる、という方もいらっしゃるかと思うんですけれども、そうした町内でのサポーターの呼びかけというものをしていくことを考えておりますでしょうか。
教)実際のところですね、TTの指導員や土曜塾、かぐや支援教室の指導員の方は、元を正せばですね、今年度からスタートする予定だった「広陵放課後塾」の登録者の中で、できたら土曜日でも、当初は水曜日を予定してましたけれども、土曜日に変更しました。そういう中で、当初は小学生だけだったのですが、「土曜日でも構いませんか。」ということと、「中学校3年生でも教えられますか。」という、そういった登録者を中心に、個々に当たらせていただいて、今のような形で支援員という形で、応募していただいた状況もございます。それとは別で県の方でも登録いただいてたりするんですが、中々そこがお互い取り合いになってしまうという状況もあります。また、登録されている方は、できる限り近隣、香芝市であったり、北葛城郡であったりとか、近いところの方々にお声がけさせていただいております。それともう一つは千北議員さんがおっしゃいましたように、広陵町内でもまだまだ支援をしてくださる方々がいらっしゃると思います。そういった方々のいわゆる町の人材バンクも考えていかなければならないと考えています。そういった形で町もなんとか指導員を確保していきたいと思っております。
ち)ありがとうございます。放課後塾の方を範囲を拡大して協力していただいているということで、そこからさらに、町内の人材バンクというものを確保していただければ、今後の教育支援のためにもつながっていくかと思いますので、もう少し力を入れて協力していただける方を増やしていただければいいかな、と思います。