「ヤングケアラーの現状把握と対処方法について」奈良県広陵町議会2021年7月

広陵町議会、2021年度7月定例会のちぎた慎也の一般質問の1問目「ヤングケアラーの現状把握と対処方法について」のやりとりです。

凡例
ち…千北
町…町長
教…教育長
局…教育委員会事務局長
政…まちづくり政策監
福…福祉部長

質問事項

ヤングケアラーの現状把握と対処方法について

第1回目のやりとり

質問事項

  • 本町におけるヤングケアラーの実態は把握できているか。また、把握できるとすればどのような手段で把握することができるのか。
  • ヤングケアラーである、あるいは、ヤングケアラーかもしれない、という学生が見つかった場合、スクールソーシャルワーカーなどを活用したサポート体制は可能か。
  • まずは、ヤングケアラーの存在といつでも相談して欲しい旨の周知が第一歩かと思うがいかがか。

質問の背景

ポイント
  • 奈良県でも、ヤングケアラーと思われる学生がいる。
  • 千北自身も、学生時代家で祖父の面倒を見ており、何かのきっかけで自分もヤングケラーになったかもしれないと思うと他人事には思えない。
  • 相談ができるだけでも少し楽になると思う。
発言内容(千北)

 大きな一点目でございます。ヤングケアラーの現状把握と対処方法について、と題しまして質問させていただきます。今年の3月、衝撃的な調査結果が公表されました。文部科学省と厚生労働省が連携して実施した、「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」によると、中学生のうち5.7%、全日制高校生のうち4.1%が、世話をしている家族が「いる」と回答されました。いわゆる、ヤングケアラーと呼ばれる存在が、40人学級に2人くらいはいる計算になります。さらに、「いる」と回答した学生の中には、睡眠や勉強の時間、そして、自分の時間が取れない、と回答している生徒も一定程度いるそうです。テレビでも大々的に取り上げられ、社会的に大きな関心を呼んでおります。実際、広陵町議会におきましても、昨日岡橋議員がご質問されておりましたし、6月に奈良県各地で開催されておりました議会でもたくさんの議員の方々が、ヤングケアラーについて質問されておりました。

 また、6月には奈良県下の公立中学校3年生、公立高校の全学年の生徒を対象とした同趣旨のアンケート調査が実施されました。こちらについては、今朝の奈良新聞にも取り上げられておりましたが、こちらの調査によると、毎日家事やケアを行っていると回答した生徒が、中学生で5.5%、高校生で5.3%いた、と聞いております。こちらは、先日、奈良県議会で行われていたやりとりで伺ったもので、集計されて出てくる数値とは相違があるかもしれませんが、いずれにせよ、奈良県内にはヤングケアラーはいない、と自信を持って言えるような状況ではないと思われます。

 実はですね、私自身も実家で学生時代にですね、認知症の祖父の面倒を見ておりました。私の場合は、母親がですね、介護士をしておりまして、その関係で一通りの介護をするノウハウは母親が持っておりました。父親も日中は当然仕事をしておりましたが、夜帰ってきてから祖父の面倒を見ておりましたので、私が当時多くのケアをしなければならないということはありませんでした。私は非情に恵まれていたなと感じております。

 実際に、中学生のときも、高校生ときも、野球部で部活に打ち込ませていただくことができました。しかし、私のような恵まれた環境であっても、当時、誰かに相談できたら幾分か心が楽だったな、と思うようなことがたくさんございます。実は、私の部屋は認知症の祖父と隣でして、夜になると、みなさんご自宅で経験された方もいらっしゃるかと思いますが、和室なもので、扉は簡単に開きますので、祖父が扉を開けて、私の部屋に入ってきて、気が付いたら、祖父が足の上に正座をしていたりですね、笑えるようなエピソードもありました。あるいは、やはり、昔は元気に話せていた身内が、日に日にコミュニケーションが取れなくなっていくことが、そもそものストレスだったことも覚えています。もう一つお話しますと、一番ストレスに感じていたのは父親だったかと思います。父からすると、厳しかった父親が、なかなかうまくコミュニケーションをとれなくなっていく、というものを間近で見ていて、その父がですね、すごく悔しかったのか、夜な夜な祖父に対してですね、訴えかけをするわけです。ちゃんとしてくれと、わからへんのかと。そうした話し合いも、夜にですね、私の部屋の隣で行われておりまして、当然声も聞こえてくるわけでございます。部活でですね、疲れた体で早く寝たい、という気持ちもありましたし、あるいは受験シーズンには夜まで勉強してるときもありましたけれども、そうした時に、身近でそうしたやりとりが行われていて、非常に心のストレスだったことを覚えております。こんな私のように恵まれた環境、母親が介護士で、父親も面倒見ているような状況であっても、相談する相手がいれば、少しでも楽だったんだろうなと思っております。また、何かのきっかけで、自分も今いわゆるヤングケアラーになってしまったかもしれないということを考えますと、やはり、どうしても私としたら他人ごとと思えない、というふうに考えております。子供たちの健康や将来のためにも、睡眠や勉強の時間はしっかりととるべきですし、何より、今、実際にしんどい状況にありながら、誰にも相談できずに我慢している子供たちがいるとすれば、それはやはり、行政として本腰を入れてサポートに乗り出すべきだと考えており、次の通り質問いたします。

第1回目の答弁(町長/教育長)

ポイント
  • 町内の中学生のうち、52名が日常的に家事や家族の世話を行っていると回答した。しかし、通常の過程でのお手伝い、とどこまで峻別できているか明らかでないので、正確にヤングケラーの実態が把握できているとはいえない。
  • まずは、学校現場において、先生方が子供たちの変化からSOSを読み取る。
  • 支援が必要となった場合は、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、福祉部局、各種機関とも情報共有、連携しながら取り組む。

 

答弁内容

議員ご質問のヤングケアラーの現状把握と対処方法につきましては、まず福祉施策の観点からお答えをさせていただき、学校や教育委員会での現状把握等につきましては、後ほど教育長から答弁をさせていただきます。

 まず、一つ目の本町におけるヤングケアラーの実態は把握できているかとのご質問につきましては、ケアが必要な児童や生徒については、要保護児童対策地域協議会や、介護保険の認定調査等の現場、障がいをお持ちの方の自立支援の認定調査等の現場などで、大変なご苦労をされているケースとしての認識をしておりますが、ヤングケアラーの問題として把握しているとは言い難い状況でございます。

 このことから現実の方法としては、教育現場で生じる生活の変化からSOSを読み取ることが一番の把握方法であると考えております。

 二つ目のご質問につきましては、後ほど教育長がお答えいたします。

 三つ目の、まずは、ヤングケアラーの存在といつでも相談して欲しい旨の周知が第一歩かと思うがいかがかとのご質問についてお答えいたします。

 議員のご認識と同様に、まずは子どもたちに、家庭生活に関しての公的な相談窓口があること、メールでの相談も可能であることなどの周知啓発が大切であると考えております。

 併せて、教育委員会部局と情報共有、連携を図るとともに、福祉分野からも早期発見のプロセス作りと適切な相談体制の確立、必要となる保護者へのアプローチについては、「お手伝い」との差を認識しながら、ケースごとに息抜きができる場所の提供などの支援をできるように努めてまいります。

 

学校や教育委員会でのヤングケアラーの現状把握と対処方法につきましては、先の岡橋議員に対する答弁と重複する項目もございますが、お答えをさせていただきます。

 まず、一つ目のご質問の実態把握についてでございますが、県下で実施された中学3年生と高校生を対象とした「ヤングケアラー等に関する実態調査」からの把握となりますが、本町2校の中学3年生は330人中、316人が回答しており、そのうち52人が日常的に家事や家族の世話を行っているとの内容でございます。

 しかし、「ヤングケアラー」という言葉を知っている、又は聞いたことがあると回答した中学3年生は2割弱にとどまっていることもあり、申すまでもなく通常の家庭での手伝いとの区別が必要であるため、現時点で正確な実態把握には至っておりません。また、他の方法として要保護、準要保護対象世帯などの確認は可能であるものの、これらを他の状況から把握することについては、個々の生活背景上からも現実には極めて難しい状況でございます。学校現場では、子どもたちの学びの環境を整えるとともに、コロナ禍で生活環境において変化がある家庭があるかも知れないということを念頭に置きながら、制服など着ている服の汚れや表情、健康状態を見て、子どもたちの変化を見逃さないように努めなければならないと考えております。

 二つ目のご質問のヤングケアラーなどが見つかった場合のサポート体制といたしましては、まずは子どもたちの様子から変化を捉え、状況の把握とともに支援が必要と判断した場合、議員ご提案のスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、福祉担当部局、関係機関と情報共有を行った上でサポート体制の構築に努めなければならないと考えております。

 三つ目のご質問のヤングケアラーの存在といつでも相談が可能な旨の周知についてでございますが、先の町長答弁と同様に公的な相談窓口があることなどの周知が大切であると考えております。

 また、学校においては本人のプライバシーを尊重することを基本として、誰にでも相談しやすい雰囲気づくり、環境づくりが重要になると考えております。

 ヤングケアラーは、潜在化しやすい問題でもあることから、教育・福祉・介護などの関係各所との連携に取り組み、子どもたちが安心して相談でき、速やかに支援ができるように取り組んでまいります。

2回目以降のやりとり

ヤングケラーをどのように見つけていくか

ポイント
  • 学校の先生方に今一度意識をしてもらうために、ヤングケラー支援条例を制定する、という手段もある。
  • 要保護児童対策地域協議会、の中で案件を精査して、何件かヤングケラーと思われる案件があった。
  • 県で実施したアンケートの結果はすでに受け取っている。プライバシーに配慮しながら、学校と共有し対応を進めていく予定。
発言内容

ご答弁いただきまして、ありがとうございます。それでは、一つずつ再質問に移っていきたいと思います。まず、ヤングケアラーに関しての質問なんですが、まずこのヤングケアラーの問題に関して、私も質問させていただいた通りですね、まずは、見つけていくというプロセスと、見つけた後にどうやって対処していくのか、という大きく二つのフェーズに分かれてくるかと思います。見つけ方としてはですね、本人から見つけるという部分と、そして、実際にケアを行っている対象の方ですね、親御さんであったりとか、あるいは祖父祖母の方、あるいは兄弟の方とか、いろんなパターンがあるかと思いますが、そういう身内の方からですね、見つけていくというパターンもあるかと思います。見つけ方としても、実際制度に引っかかっているところから探っていく、という部分があるかと思いますが、その制度の存在も認知されていないと、本当に見つけにくいと思います。

 色んな方がいらっしゃると思いますので、まずはですね、どういう風に見つけていくのか、という部分から議論をさせていただきまして、それに続いて、どういう風な対処ができるのか、という話に移っていきたいと思います。どうやって見つけていくのか、ということなんですけれども、実際ご答弁にもございました通り、学校現場では学生の変化っていうものは先生が注力して見つけていただくというようなことが、まず第一です、という風にご答弁いただきました。おっしゃる通りだと思います。ただ、やはりですね、私もニュースを見まして、知り合いの先生達にですね、どう思いますかと、5%とか(ヤングケアラーが)自分のクラスにいると思いますか、というのをあたってみたんですけれども、おらんと思う、1人とか2人、そういった生徒がいたら、まず分かる、とみなさんおっしゃいます。目に見えた変化があったりとか、部活にいけなくなったりとか、進路相談をするときに、県外で出るのは難しい、と言ってくれたり、そうした部分で気づくことができると思う、とおっしゃっていました。これはその通りだと思います。毎日顔を合わせてコミュニケーションとっておられるからこそ、そういったことが言えると思うんですけれども、ただ、実際に、データとして上がってきたものを見れば、やはり5%ということですし、奈良県が調査したものも、ただし、教育長がおっしゃった通り、一般的なお手伝いとか家庭の手伝いと区別する必要はありますけれども、やはり、一定程度は(ヤングケアラーが)いるだろうということは、データからは明らかかと思われます。ですから、まず大事なのは、学校の先生方に今一度意識をし直してもらうことが必要かと思います。

 そのための有効な手段としては、条例を制定する、というのも一つかと思います。実際今年の6月にですね、三重県名張市議会の方で、ヤングケアラー支援条例、が制定されております。昨年には、埼玉県の条例として同じようなものが制定されております。その中で謳われておりますのが、「ヤングケアラーと関わる教育に関する業務を行う関係機関は、その業務を通じて日常的にヤングケアラーに関わる可能性がある立場にあることを認識し」、ということで、今一度認識していただく必要があるかと思います。名張市の条例でも同じように書かれております。今一度先生方に意識をし直してもらう必要があるかと思いますが、その辺りいかがでしょうか。

まず、私が一番感じるのは、先ほども言いましたが52名が世話をしているということですけど、中身が一番問題かなと思います。この52名のデータを全部県の方からいただいております。本来良くはないでしょうけど、一応確認することが可能なんですね。ですので、まずはその辺で確認をしたいと思います。答えてる中に本当にしんどい子がいるのかどうか、それはね、これまでにも、中学校につきましては、三者懇談を必ずやってますけども、それまでに、二者懇談を必ず行って、教育相談をされています。その中で、子どもたちの訴えを受け止めていこうと、そういう形をとっています。そういう中で、言葉の端々の中であったり、表情であったり、いろんなとこからある程度の把握でできます。それを基にして(把握していこう)と思っております。教員はある程度分かっておりますので、ほとんどの場合は担任が対応すればよいかと思います。しかし、分からない部分もありますので、そういった部分をどうやって掘り起こしていくのか、というのが一番難しいかと思います。例えば、地域の民生委員、児童委員の方がある程度ご家庭の状況はつかんでありますので、その辺も全部ひっくるめた上でですね、そこの情報を集めてくる、ただやはり、学校はですね、子供達と直接会っていただいておりますので、必ず変化が起こるんですね、私も、いつもと違うなと思ったときに、本当のところはどうか、ということで、こっちが本当に寄り添いながら、そして、こちらが心配しているということが伝わったら、(子どもたちも)本音で話をしてくれます。そういったことを常に対応していかないといけないと思います。そういう中での実態把握になるのかと思います。

実態調査の件でございますが、今回ご質問いただいた際に、要対協(要保護児童対策地域協議会)の案件につきまして、精査をさせていただきました。要対協案件の中に、それに該当するような案件があるかどうか精査をさせていただきまして、今のところ3件ほど、該当する案件がありそうだ、というところで進めております。教育委員会と福祉部の間で調整をさせて頂きながら今対応をさせていただくというところでございます。ご報告だけさせていただきます。

ありがとうございます。今、アンケートの結果とですね、民生委員さんとも協力しながら情報共有して対応を行っていきます、ということでした。今朝の奈良新聞を見ておりますと、アンケート結果に関して書かれておるんですが、現在は対象となる中学生のヤングケアラーの疑いがあるという対象の中学生の在学の市町村教委高校生の学校に、それぞれ連絡し、現場での対応も始まっている、と書かれて居るんですけれども、これに関して、今おっしゃった3件が該当するということでしょうか。

先ほど答弁したものは、要対協の案件の中で調査をしたところ、3件ほど該当しそうだ、ということです。

千北議員がおっしゃっていただいたように新聞の記事だけではないですが、県の方から、個別のデータをいただいております。その中では、個人を特定することも可能です。その中で、自分はしんどい・つらいと感じている、というところについては、デリケートな問題を含んでおりますので、これからの対応をどうしていくのか、というところですが、一番信用のおける先生から、声をかけていただく、とか、相談窓口の周知をさせていただいて、ご自身で動いてもらえる場合もあると思います。そういったところへつなげていきたいと考えております。県からは相応のデータをいただいております。そのデータの取り扱い等も、プライバシーに配慮するように、との常識的な部分を踏まえた上で、学校に返している状況です。

町一丸となって、困っている学生を見つけることができたら、と思います。もう一つ、これは参考までに、ということでお伝えさせていただきたいと思います。学校現場で日々の変化を見ながら変わったことに気づくことができる、というお話がございましたが、勉強の成績を異変に気づくためのきっかけにされている事例もございました、確か大阪の箕面市で実施されていたと思います。今、奈良県下では幸い、小中学生がみんなタブレットを持っており、Google Workspace for Educationのアカウントも持っている、ということで、勉強のデータを時系列で把握しやすいようになっております。 そこからの検知もできると思います。具体的に申しますと、同じ60点でもそれぞれの子どもによって意味が違ってくるかと思います。ずっと40点くらいだった子の60点であれば、これはがんばったな、ということになりますし、逆に、ずっと80点や90点をとっていた子の60点であれば、ちょっと何かあったのかな、と考えてもよいかと思います。今このようにデータの追跡が、(学校が変わっても)同じアカウントを持っていることにより、行いやすくなっているかと思いますので、その辺りのことも参考にしていただければ、と思います。

ヤングケラーを発見したときにどのように対処するか

ポイント
  • スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどを活用し、適宜適切な対応をとっていく
  • 中高生が相談しやすいように、LINEで相談窓口を設けてはどうか
発言内容

では、どのように(ヤングケアラーを)発見していくのか、という議論から、見つけたあとに具体的にどのように対処していくのか、という議論に移っていきたいと思います。ご答弁にもございましたように、スクールソーシャルワーカー(以下、SSW)などを活用しつつ対処していく、ということですが、先ほど、事務局長のお話では、今回の県の調査で明らかになった子どもたちに対応していく際には、担任の先生等から、話を聞きにいってもらったりとか、関係機関から話を聞きにいってもらう、ということでしたが、このような対応をしていくときに、SSWの方に入っていただくものかと思っておりましたが、そのような活用は今のところ考えておられないのでしょうか。

もちろん、SSWにも活躍をしていただきます。やはり、教職の先生方はもちろんのこと、日々家庭を訪問しておりますと、この子ちょっとおかしいなと、いつもの様子と違うな、昨日何かがあったのか、というところで、うまくアプローチをしていただきますと、昨日家で、父親と母親がトラブルで喧嘩した、とかですね、子どもは正直ですので、母親が帰ってこない、というようなときには、ほとんどの子がはっきりと態度に現れてくると思います。私のように、教職の経験がないものでも、ある程度認識がとれましたら、ちょっとおかしいな、ということを感じましたので、そのあたりのところから対応をさせていただきたいと考えております。

対応するケースによって、いろいろな対応方法を取られていく、ということで、それは適宜適切な方法を選択していただきたいと思います。ただ、広陵町は確か、SSWの方が就いてらっしゃいまして、近隣市町村と比較しても、県から派遣してもらうのではなく、自治体としてSSWを抱えている、というのは非常に先進的かと思いますので、しっかりと活躍していただいたら、よいかと思います。まあ、非常に難しい問題で、顔を知らない人に相談するのは正直どうなのか、というのもあるかと思いますが、関わっていただく中で、しっかりと話しやすくなってくる部分もあるかと思います。今の事務局長のお話にもありましたように、子どもは正直だということで、相談できる人がいるだけで、ある程度気持ちが楽になってくるかと思います。そういった観点で、県の方では、(ヤングケアラーに関する)メールの相談窓口を設けておられます。しばらく前に設置された、とのことですが、本日付けの新聞報道でも、まだ相談件数がゼロ件ということでした。このメール相談窓口は県としては非常に力を入れておられて、単純にメールで相談を受け止めるだけではなく、対応するメンバーの中に校長経験者も入っており、バックアップ体制は万全です!、ということだったのですが、やはり、メールでの相談というのは、今の子供たちにはハードルが高いか、あるいは、なかなか周知し切れていないか、のどちらか、かと思います。

 そこで、こんな形の窓口もどうか、という点を提案させていただきます。LINEを活用したヤングケアラーの相談窓口も考えられるかと思います。数年前からいじめの相談窓口とか、家庭の悩み事の相談窓口というものを長野県とか、あるいは滋賀県大津市の方でですね、LINEの窓口として開設されておりまして、数ヶ月運用してるだけで、1年間で受けた電話の相談と一緒ぐらいの相談を受けているというような話も伺っておるんですね。やはり、今の子供達の普段使っているツールに寄り沿った形で窓口を設けていく、ということが非常に肝要なのではないか、というふうに考えておるんですけれども、その点ですね、植村教育長、あるいは、池端事務局長の考えと、実際LINEを運用していくということになるとですね、未来都市推進課の方でも関わってただことになるかと思いますので、中村政策監の方のお考えも聞かせていただけますと幸いです。

ご提案ありがとうございます。子供たちが90数%もスマートフォンを持っているという状況もございますので、そんな中で、子どもたちのほとんどがLINEを使っています。千北議員さんがおっしゃってましたように、全国ではいじめの窓口も全てLINEで相談できるような体制が出来上がっておりますので、私もその辺のことは進めていきたいなと思っております。気軽に相談ができる体制っていうのが重要で、子供たちが、これは言ったら何か思われるかな、とか思うのではなく、単純に自分の想いをすっと出せるようなツールでないといけないと思いますので、そういう体制を作っていきたいと常に思っております。

ヤングケアラーにLINEの活用、ということですが、中々発見しにくいような実態把握、このようなケースの場合の手段はできるだけ多い方がよいと思います。これはヤングケアラーの問題だけではなくて、潜在的に貧困とか引きこもりのように、現行制度で救えないようなケース、これもたぶんあると思うんですね。これも同様だと思ってまして、広陵町のSDGs未来都市計画の中では、制度の狭間で救えない人も救おう、という ような方針を出してますので、これはまさに対応すべきものだろう、という様に考えてます。そのためには、先ほどから教育委員会なども答弁しておりましたが、学校とか地域とか公共施設、例えば図書館等での行動把握だとか、例えば、色んな福祉の所に付き添いで来ている、こういうのも実態把握の一つだと思うんですね。だから、みんなが、職員が、気がつけるかどうか、あるいは、先ほどの各種団体との連携、とにかく何でもいいから、情報、なんですこれ。ですから、どういう形であれ情報収集して、キャッチする仕組みが必要です。

 それから、議員がおっしゃったように近年のデジタル化の進展に伴って、代表的なツールとしてLINEを提案していただいてますけども、その他にSNSですとかホームページ、Facebookもやってますので、そういう手段も使いながら、仕組みを作る、というのは大事だと思います。当然ここには、セキュリティ、個人情報のしっかりした保護をした上での体制になりますので、きちんとそこは整理する必要があると思ってます。町としてもその辺の受け入れの担当を明確にしてですね、今は福祉と教育委員会の方で連携をとっておりますが、この辺も明らかにして、とにかく困ったらこういうとこに相談する場所がありますよ、町としてこのような体制を作りましたよ、というところも表明することが非常に大事だと思います。そういう意味では、こういうような単面的な、ヤングケアラーだけの問題ではなくて、福祉全般、教育全般の観点からやっぱり取り組んでいくってのが凄い重要な段階に入ったんだと考えております。

 

ヤングケアラーの周知徹底を!

ポイント
  • 認知症キッズサポーター制度、今年度はすべての小学校で実施していく
  • 認知症キッズサポーター制度など、いろいろなシーンでヤングケラーの周知を図って欲しい
発言内容

ありがとうございます。子供達にとって、中学校、高校といっても3年間しかない中で、1年、半年、1か月というのは非常に大きいかな、と思いますので、早急にご対応頂けますと幸いでございます。今、どういう風にサポートしていくか、ということをお話しさせていただいたんですけど、やはり、一丁目一番地と言いますか、一番大事になってくるのは、ヤングケアラーっていうものの存在を知ってもらうことだというふうに考えております。その中でですね、子供達にもある程度介護するスキルを身に着けてもらうことができれば、介護の負担も減らして行けるかなと思っております。確かですね、ちょっと正確な名前を覚えていないですが、えーっとキッズ介護症サポーター、という制度があったと思うんですけれど、あれは今年度あるいは来年度以降も実施される予定があるのかどうか、お伺いさせて頂いてよろしいでしょうか。

)認知症キッズサポーター制度のことですが、今も小学校の方に働きかけをさせて頂いて、今年度も計画をしております。ちょっと学校名は確認しておりませんので、また報告させていただきます。

認知症キッズサポーター制度で、福祉の方から来ていただいて、子どもたちに教えていただいております。昨年までは、北小学校と東小学校に来ていただいておりました。今年度につきましては、福祉部からの依頼もありまして、今年度は全ての学校に実施して欲しいということをちゃんと言っております。新型コロナの状況で1学期の実施は難しいところもありましたが、2学期以降にすべての学校で実施していただく予定です。

ありがとうございます。ぜひですね、その認知症キッズサポーター制度のときにですね、併せてこのヤングケアラーの問題っていうものもお伝えしていただければ、認知度を高めていくことができるんじゃないかというふうに考えております。

ヤングケアラー支援に関する条例の策定は

ポイント
  • 条例化することは社会に問題提起する、という意味もあるので、議会でも議論いただいて、検討していきたい
発言内容

そしたらヤングケアラーの問題の最後にちょっと町長にお考えを伺いしたいんですけれども、実際他の自治体で条例を制定されてですね、それぞれに関わる役割を明確にされたりでありますとか、大きな方針を出された、ということをされてるような事例もございます。新しく条例を作る、というだけではなく、既存の条例にそういった条項を加えるということも可能かと思いますが、町としてそういった方針を取られるのことに関してのご意見いただければと思います。

条例化するということは、社会に対して問題を提起するということにつながりますので、その成果は大きいものがあるという風に思います。しっかりと実情を把握した上で、また議会の方でも議論をしていただいて、条例化する、という方法を検討いただくのも一つの方法かと思います。また、自治基本条例が施行されましたので、その理念に基づいて、社会の課題をどのように政策として実現するのか、ということにつながっていくと思いますので、条例化も一つの大きなステップになるというふうに思っております。

ありがとうございます。機を見て、必要であれば、議会としても動いていきたいと考えております。以上で、ヤングケアラーの方の質問を終了させていただきまして、二つ目のGIGAスクールの方の質問に移っていきたいと思います。

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