「町主導でさらなるIT導入の後押しを!」奈良県広陵町議会2021年12月
広陵町議会、2021年度12月定例会のちぎた慎也の一般質問の1問目「町主導でさらなるIT導入の後押しを!」のやりとりです。
凡例
ち…千北
町…町長
次…事業部次長
目次
質問事項
町主導でさらなるIT導入の後押しを!
第1回目のやりとり
質問事項
- 「広陵町中小企業・小規模企業デジタル化推進補助金」の申し込み状況は。
- 地元企業のデジタル化は継続的にサポートしていくべきだと思うがどうか。
質問の背景
ポイント
- 町内の中小企業にはIT活用の後押しが必要
- 国や県のものもあるが地方自治体として、デジタル化(IT活用)を後押しする補助金を設けることは意義が大きい
発言内容(千北)
2021年9月1日、デジタル庁が発足し、やっと国をあげてデジタル化を進めていこうという空気になっております。広陵町においても、平成29年1月に実施された「広陵町中小企業・小規模企業事業所実態調査」によると、「IT活用」を自社の強みとして挙げる事業者が相対的に少なく、IT化やIT活用につき、事業者への後押しが必要だと思われます。
そんな中、本年11月に広陵町から、町内中小企業・小規模企業のデジタル化を支援する「広陵町中小企業・小規模企業デジタル化推進補助金」が交付されました。この補助金は非常に好評だったと聞いております。国や、県にも、企業のデジタル化を支援したり、ソフトウェアの購入に使えたりする補助金がございますが、基礎自治体としてこうした趣旨の補助金を設けることには大きな意義があるように思います。
まず、補助対象の事業者としては、町がバックアップしてくれている、という安心感につながりますし、さらに、IT事業者や今後IT分野での起業を検討している人材にとっては、広陵町がデジタル化に関心があることが分かり、IT分野でのビジネスチャンスがあると判断するでしょう。そこで、下記の点につき、質問いたします。
第1回目の答弁(町長)
ポイント
- 「広陵町中小企業・小規模企業デジタル化補助金」の枠は5日でいっぱいになった
- 申請内容は、HPリニューアル、ECサイトのリニューアル、ライブコマースの導入、だった
- 情報発信やIT化については今後も継続的な支援策を検討していく
答弁内容
一つ目の「広陵町中小企業・小規模企業デジタル化補助金」についてのご質問でございますが、ウィズコロナやポストコロナ時代に対応した新たなビジネスモデルや働き方を支援するため、1事業者当たり最大50万円を限度額として対象経費の4分の3を補助するもので、予算額250万円で11月1日から申請を受け付けさせていただいたところ、11月5日までに5件の申請があり、予算額に達する見込みとなりましたので、受付を終了いたしました。
申請内容といたしましては、ホームページのリニューアルが3件、ECサイトのリニューアルが1件、ライブコマースの導入が1件となっております。
二つ目の地元企業のデジタル化は継続的にサポートしていくべきとのご提案についてでございますが、デジタル化の普及によりビジネスシーンは大きく変わっております。以前は、商談で使われるのは電話やファックスなどのアナログ主体でございましたが、今はメールやオンラインのウェブ会議システムによる商談などに変わりつつあります。
また、インターネットによるイーコマースの活用で販路やマーケットは、国内だけでなく海外まで広げることも可能となっております。
KoCo-Bizを訪れる相談者のうち、一番多いのは販路開拓の相談で、次に多いのは情報発信の相談と聞いておりますが、今回申請のございました5社のうち、3社がKoCo-Bizの相談者となっております。
中小企業や小規模企業がデジタル化を進めますためには、資金確保だけではなく、デジタル技術に関する知識やスキルを持った人材の確保が極めて重要でございます。
11月18日に開催されました「広陵町中小企業・小規模企業振興会議」におきましても、情報発信やIT化に係る取組への支援が提言されており、今後とも継続的なサポートは必要と考えておりますので、町として取り組む効果的な支援策を検討してまいります。
2回目以降のやりとり
広陵町がIT化に前向きだということを発信して欲しい!自治体としてIT化を後押しする意義は。
ポイント
- 企業小規模企業デジタル化補助金は、事業者の意識向上、コロナ禍でのデジタル化の必要性そして、KoCo-Bizのサポートがあり、効果的だったと考えている
- 自治体で実施したからこそ、広陵町らしさを出すことができた
- 広陵がデジタル化に前向きだということを町外にも発信して欲しい
発言内容
ち)企業小規模企業デジタル化補助金については、11月1日に申請を受け付けていただいて、5日までなのでも4日あるかないかぐらいの期間で、5件の申請があったということで、周知期間もそんなに長くなかったのに非常にご好評と言うか、ニーズがあったんだな、というのが、この結果を見てもわかると思います。
そこでちょっとどのように考えてらっしゃるか、という点なんですけど、今回の補助金がですね、なぜこのように好評だったか、という点につきですね、今考えてらっしゃること教えてください。
次)好評だった理由ですが、事業者の意識が高くなった、ということと、コロナ禍の中、デジタル化を進めていかないと自分の事業が立ち行かない、と思われたということ、そして、広陵町としてもKoCo-Bizを立ち上げまして、KoCo-Bizとしても、かなりIT方面の支援もしていると聞いております。ホームページがなかった事業所についても、無料でできるホームページを作り上げて、そのホームページを公開することによって、すごく売り上げが伸びた、というような所も聞いておりますし、今この5社のうち3社がですね、KoCo-Bizの相談者ということで、町長の答弁にもありましたけれども、この方についてはやはり、今あるものをどのようにリニューアルして、活用して、売上を伸ばしていくか、というところをやはり相談しておられた、というところがあって、そこにこの補助金がうまくマッチしたのかな、というところもありますので、町としてはですね、いいタイミングで補助金が出せたかな、というふうに考えております。
ち)私も町内の事業者さんにですね、町がこのような補助金を出しているがどう思うか、と何件か聞かせていただいたんですけれども、非常に嬉しい、というお声をたくさん頂きました。それはなぜかと言うと、まあお金がもらえるから嬉しい、という点もありますが、広陵町という自治体がですね、自分たちのビジネスのことを後押ししようとしてくれるんだ、という姿勢がすごく嬉しい、とたくさんお声をいただいてですね、やはり自治体としてですね、頑張ってる企業さんをきちんと応援しますよ、ということと、こういう方向で変わっていっていただけるように町としては準備をしています、というところをお示しするというのがですね、非常に効果的だったのかなと感じております。
先ほど、次長がおっしゃったようにですね、やはりKoCo-Bizの存在も非常に大きいかな、と思っておりまして、KoCo-Bizがあるおかげでですね、町内の事業者さんは無料でご相談ができてですね、アイディアと、そして実際に行動を起こされる事業者さんも沢山出てきているという風に伺っております。なんかこういうことしたいな、というのがあって、実際に進めていることもあって、その上でこうした後押しというところで、そういうものもあって非常に効果的だったのではないか、という風に私も感じております。
そういう背景もあって今回の補助金が非常に効果的だったなと思ってるんですけれども、私の最初の質問でも申し上げた通りですね、実際には、県や国という単位でも、デジタル化を後押しする補助金がある中で、今回は自治体としてですね、こういう補助金を設けようというふうに考えられた経緯をちょっと教えていただけるでしょうか。
次)これにつきましては、中小企業小規模事業振興会議の部会の中で、様々なご意見をいただいた、というのも一つでございます。その意見の中に、国や県の補助金で、何かを導入しても、そこからも継続ができない、というものでした。KoCo-Bizに相談に来られる方の中にも、ホームページは何年か前に作ったが、更新ができず、リニューアルができないままほったらかしにしている、という現状がございました。
今回の広陵町中小企業小規模企業デジタル化推進補助金の一番の売りはですね、当該ビジネスモデルや働き方を継続的に実施することを支援する、というので、この趣旨に合った計画を立てられた事業者に対して支援をさせていただきました。やはり、あるだけではない継続して使っていけるというような、そういう仕組みづくりをきちっとされている方をやはり支援する、というそういう考え方でこれはさせて頂いております。
ち)まさにおっしゃる通りかと思っておりまして、やはり、国や県の補助金は、手続きが非常に煩雑な割には、事務的な報告書類が大量に求められて、思ったより手がかかってしまい、結局取らない方がよかったのではないか、という声も聞いたりします。また、先ほど次長もおっしゃったようにですね、やはり、町としてもここを後押ししていきたい、継続的、という部分ですね、この町らしさを出すことができたのもよかった点かと思います。それもやはり、自治体として打ち出していけたからかなと思っております。そういう意味でもこうしたバックアップをですね、広陵町という一つの自治体が主体的にやる、ということが非常に効果的だと感じております。
頂いたご答弁の中にですね、予算とかアイディアも大事なんですけれども、デジタル化を支援できるような人材の確保が必要です、といった事も書いてくださっておりました。自治体としてですね、こういう補助金をやってますよ、というそういうスタンスを見せることがですね、そういったIT人材の獲得にも繋がるんじゃないかと考えております。
中国の話ですけれども、戦国時代にですね、郭隗という政治家がおりまして、燕という国の政治家とわけですけれども、まず隗より始めよ、ということわざですね、皆さんお聞きになったことが多いかと思います。これはですね、身近なことから始めよ、という意味に使われておるんですけれども、実際のストーリーを見るとですね、そんな単純なものではないんですね。あれは、 郭隗がですね、王様にですね、どうやったら良い人材を集めることができるか、という問いに対してですね、まず私を登用せよ、と言ってるんですけれども、それは自分が優秀だからとか、自分が身近だからとかそういうわけじゃなくって、私みたいな人間でも、高いレベルで登用してもらったら、もっといい人材が、あこにいったら良い待遇を受けさせてくれる、という風にして集まってきます。だからこそ、私を登用して下さい、と言ったというわけなんですね。
そういう観点から考えるとですね、広陵町としてこれだけIT化をバックアップしています、自治体として行ってます、ということをですね外に向けて発信していくことができればですね、先ほど私質問でも言わしていただきましたけれども、IT人材はですね非常に情報感度が高いですので、Google検索等をかけられた中で、広陵町がこういうことしてるから、何かITで事業をするときは広陵町でやろうかな、とこうなってもらえるかな、と思いますので、やっぱり自治体として独自に施策を打って頂いた事は非常に有効だったかなと思っております。そこでちょっと質問なんですけれども、今回の補助金を設けるにあたってですね、プレス等を打たれてですね、外部に発信していく事っていうのされたのでしょうか。
次)ホームページに載せてやらせていただいたような状況の中で、このたくさんの応募があったというような状況でございます。
ち)今回枠も少なかったですので、ちょっと加減されたところもあろうかと思うんですけれども、是非こうした取り組みはですね、町内の事業者が対象になるんですけれども、ちょっと外向けにもしっかり発信していただいてですね、広陵町というのはこういう取り組みをしている自治体だということを広く知らしめていただいた方が良いのではないかと思います。
移住の話も一緒ですけれども、広陵町でこうした充実した施策がされているということは、やはり企業誘致であるとか起業の誘致にもつながってくるかと思いますので、ぜひこういう尖った取り組みをされる時にはですね、外向けの発信も心がけていただけたらいいのかなと思っております。
ふるさと納税の財源を活用して、事業者のデジタル化を支援できないか?
ポイント
- ふるさと納税の財源を事業者のデジタル化支援にあてることは可能
- 町としては、ITが苦手な事業者に対して、アウトリーチ型で支援するようなチームの作成を検討している
発言内容
ち)ここでですね、一番の趣旨のところに戻ってくるのですが、今回のこういったサポートを継続的にされますか、ということに対してですね、ご答弁としては、今後とも継続的なサポートが必要と考えておりますので町として取り組む効果的な支援策を検討してまいります、という風にご回答いただきました。ちょっと次の質問とも関連してくるんですけれども、今ふるさと納税が非常に好評だと聞いておりまして、個人的にはですね、ふるさと納税で増えた税収をですね、成長する投資に使っていけたらいいんじゃないかなと考えております。やはり普段の町政運営をしていく中でですね、必要な経費というのがある中で、ふるさと納税という新しい仕組みを使って付加的に得られた税収をですね将来のために使っていけたらなと思うんですけれども、ふるさと納税で集めた税金っていうものをデジタル化支援にですね、回すことができたらと思うんですけれど、その辺りいかがでしょうか。
次)確かに、そのような方法はあるかと思います。財源としては、ふるさと納税の活力あふれるまちづくり、を選んでいただいたものを活用することも可能かと思います。ただ、中小企業小規模企業振興会議からの提言書の中で、IT化も含め、行政がすべきこと、事業者がすべきこと、そして、共同で取り組むべきこと、と3つに分けて提言をいただいております。その中で、共同で取り組むべきことにですね、IT機器のツールの導入はもちろん共同で取り組むという形になるんですけれども、一つ今年出していただいた意見で印象的だったのは、押しかけレクチャー部隊を作る、というもので、そういう部隊を作ればどうか、という意見がございました。ITを入れても中々活用できないような事業者に対して、みんなでサポートしにいく、というそういうチームを作ることができれば、という意見もございました。財源はともかくとして、ふるさと納税、もしくはどういう財源を使うのか、っていうのは今後財政と協議をしていくということになると思うんですけれども、やはり民の力ですね、皆さんの事業所の力も一緒に使っていただきながらですね、広陵町がITに向かって進む事業者が多いんだということをPRしていきたいというふうに考えております。
ち)提言書の内容として今ご説明いただいたのは、アウトリーチ型のIT支援ということで、非常に良いと思います。私がですね、ふるさと納税で得られた税収を町内の事業者サポートにあてるのはどうか、ということを意見としてあげさせて頂いた理由としてもう一つあるのがですね、非常に相乗効果が高いんじゃないかなと思っております。ふるさと納税を使ったお金で中小企業の支援をしていくと。デジタル化が進んで、例えば新しい商品ができたら、またそれをふるさと納税の返礼品にも加えていただければですね、そうすると事業者さんとしてもですね、自分たちが商品開発を新しく頑張ったりとかしてですね、それがこう、また自分たちに周り回って帰ってくる、ということであれば、やはり非常にビジネスを伸ばしていくことや商品を開発していくことに張り合いが出てくるのではないか、と思いましてこのように提案をさせて頂いておりますので、是非ですねそういうカテゴリーを設けるなどの方法のご検討いただけたらよいのかなと思います。