逆転の発想!逆プロポで地域課題の解決を。奈良県広陵町議会2022年6月

広陵町議会、2022年度6月定例会のちぎた慎也の一般質問の2問目「逆転の発想!逆プロポで地域課題の解決を」のやりとりです。

> 2022年12月に逆プロポを活用したプロジェクトがスタートしました!

> 「広陵町でも逆プロポ始まります!大分トリニータと「骨折ゼロのまちへ」

凡例
ち…千北
企…企画部長

質問事項

逆転の発想!逆プロポで地域課題の解決を

第1回目のやりとり

質問事項

  • 逆プロポーザルにチャレンジしてみてはどうか。

質問の背景

ポイント
  • 社会課題が多様化・複雑化する中で、地域課題の解決には民間活用が不可欠
  • 企業に対して、行政から提案し、供に課題解決に挑む「逆プロポーザル」という仕組みがある
発言内容(千北)

社会の課題が多様化・複雑化する中で、地域課題の解決にも民間企業のノウハウやリソースを活用することは不可欠でしょう。指定管理者制度やサウンディング型市場調査、そしてプロポーザルなど、様々な手法が本庁においても実施されております。近年、自治体と企業の新たな共創の形として、逆プロポーザルという手法が提唱されておりまして、生駒市など、そういった自治体で実践されてございます。
逆プロポーザルでは、通常のプロポーザルと逆の流れになっておりまして、企業が社会課題やテーマを設定して、それに対して自治体側から企画を提案する。そして、提案が採択されれば、費用に関しては企業が負担する、そういった仕組みであります。自治体側としては、共創意識の高さや提案スキルが求められるとなっています。
広陵町では、第5次広陵町総合計画を内製するなど、職員の皆様のスキルが大きく向上していると感じております。自分たちで考え、実施できる素地がある状態だからこそ、企業からの提案を待つだけではなく、社会課題の解決に前向きな企業へ積極的にアプローチをして共創することで、より質の高い住民サービスの提供が可能になるのではないでしょうか。
以上を踏まえて、次の点につき、質問いたします。

第1回目の答弁(町長)

ポイント
  • 行政課題の解決を民間事業者との共創により検討することは住民ニーズへの新たな対応方法の発見や行政経営の効率化が期待できる
  • 逆プロポへの参加を積極的に検討する
答弁内容

 逆プロポーザルは、自治体側の社会課題の解決と企業側の新規事業開発をマッチングする仕組みでございます。企業が社会課題を公募し、それに対して、解決に向けた企画やアイデアを自治体が提案し、企業側がプロジェクトの資金を負担することで事業化されます。令和2年11月から実施されており、本年3月までに9件の案件が構築されております。

 議員御質問のとおり、生駒市では、株式会社ワイヤレスゲートと共創し、子育て支援総合センターの入退室受け付けや記録業務に関する課題をデジタル化することで解決するという実証実験を行われたようです。企業側の共創の前提として、あくまで実証実験のみを行うこととしており、事業の継続性が担保されるわけではございませんので、行政側といたしましては、応募案件を精査いたしますとともに、行政側の課題を明確にする必要があると認識しております。

 しかしながら、行政課題の解決を民間事業者との共創により検討することは、多様化する住民ニーズへの新たな展開や行政経営の効率化にも十分寄与するものと考えております。また、議員がおっしゃるとおり、令和4年度からスタートした第5次総合計画の策定過程におきましては、政策マネジメントシートの作成等を通じて、職員の政策形成能力の向上を図ってまいりました。公民連携はもとより、効率的な行政経営を行うためには、職員のスキル向上は重要であると認識しております。本町におきましても、公民連携の新たな分野として、逆プロポへの参加につきまして、積極的に検討してまいります。

2回目以降のやりとり

広陵町には逆プロポに取り組む素地がある

ポイント
  • 公民連携の先進地枚方市では、「公民連携プラットフォーム」という形で公民連携が行いやすくなっており、自治体の課題をオープンにしたり、公民連携のための窓口が公開されている。
  • 第5次広陵町総合計画を職員主導で作成したことで、職員力の向上につながった。
発言内容

逆プロポーザルという仕組みについて、導入してはどうかというような議論ではあるんですけれども、まずその中身、詳細に入る前に、基本的には、これ公民連携の中の一つのやり方ではあるんですが、広陵町において、公民連携をとりまとめる部署はどこになっていて、どのように今とりまとめを行われているか確認させていただいてもよろしいでしょうか。

まず、公民連携をとりまとめる部署といたしましては、企画部の総合政策課でございます。総合政策課のほうで各部局の事業のほうをチェックいたしまして、その内容が公民連携で行えないのかということで、こちらからアプローチをしたりとか、各課のほうから相談を受けて行っておるという状況でございます。

ありがとうございます。例として、今回、提案させていただいている逆プロポーザルを早くから実施されている大阪の枚方市ですと、公民連携プラットフォームというのが準備されていて、自治体が抱えている課題意識であったりとかっていうものを言語化して共有する場があったりとか、あるいは事業者側から、どこに公民連携したいときに相談すればいいのかという窓口が明らかになっていたりするんですね。そういった素地が枚方市にはある、要するに、常に外に自分たちの課題であったりとか、連携するのウェルカムですよというもの開いた上でされていたという素地があったからこそ、枚方市では逆プロポーザルに関しても非常に取り組みやすかったのではないかなと思っております。なので、そういうオープンな公民連携をしているということ、そして、課題意識を共有していく、外に出していくというところは、広陵町としても参考にできる点なのではないかと思っております。

 次の質問ですが、一番最初の質問の中でも触れたとおり、やはり私は、第5次広陵町総合計画を職員の皆様で頑張って作られたということが非常にすばらしいチャレンジだったなというふうに受け止めております。その上で、書かせていただきましたが、逆プロポーザルを行っていくときには、まちではなくて、きちんと職員の皆様側から企業に対して、自分たちのまちにはこんな課題があるんで、持っている技術であるとかを使って、こういうふうに解決できませんかという提案をしていかなければいけないというところで、やはり職員の皆様のスキルであるとか、あるいは課題意識を言語化することですね。日々そういうことをやっていることが必要になるかと思います。
そこで質問なんですが、総合計画を皆様で作っていかれる上では、職員研修であるとか、スキルアップの機会というものがあったかなと思うんですけれども、今、どういうふうにして職員の皆様に対して、研修であったりとか、トレーニングをされているのか、そのあたり教えていただけますでしょうか。

まず、総合計画を策定途中、策定過程におきましては、今回の総合計画をどういう形で策定をしていくのか、今までのやり方とは全く違うやり方で総合計画を策定していくということを中心に、今までの考え方を少しやはり変えて、そもそもこれまでやってきたことが本当にどうだったのかと、そこにちょっと立ち返って、一つ一つの事業を洗い直す。その中で見えてきたものがあると。それを最終的には総合計画の中に反映していこうというようなところを中心に研修を行ってまいりました。実際できた後に、今の現段階といたしましては、じゃあ、これは作って終わりではなくて、当然これを実効性のあるものにしていこうということですので、その一つが昨日も御質問いただきましたような行政評価の仕組みを入れていくと。それをもうPDCAサイクルをしっかりと回していくというところで、この策定をした後に、その事業をしっかりと展開していくやり方をどうやっていけばいいのか、そこにやっぱり今度は立ち返っていくわけですので、そのあたりを中心に、今は各課のほうで意識をしてやっていただいているというふうに思います。

 ただ、そこに関して、先ほどの御質問いただきました公民連携のやり方があるということであるとか、それ以外のやり方がいろいろあるということは、これはもう常に私ども総合政策課のほうから各課にいろいろと投げて、キャッチボールをしながらやっていこうということでやっていますので、個別の、全体を集めてのそういった研修というのは行っておりませんけれども、それぞれの事業についてディスカッションしながら、やっておるというような状況でございます。

逆プロポーザルにより、行政課題への取り組み方や事業者の捉え方も変わる

ポイント
  • 逆プロポーザルでは、共に取り組む事業者と、町の課題意識やビジョンを共有した上で実施することになるので、実施プロセスに非常に価値がある。
発言内容

ありがとうございます。総合計画の作るプロセスにつきましても、詳細に教えていただきまして、ありがとうございます。この逆プロポというのは、冒頭申し上げましたように、奈良県であると、生駒市でも実施されているわけでありますが、実施したい企業が、こんなテーマであるとか、技術領域の案件を募集していますというふうに載せて、それに対して自治体が提案をしていくという仕組みになっております。一つ例として、生駒市でされていたものを御紹介すると、業者さんが出したテーマは、本来のあるべき姿と今現実にやっている業務にギャップがあるような内容を募集しますと。結構抽象的なテーマを掲げて募集されたわけでありますが、そこに対して生駒市さんが子育て支援総合センターの業務が紙で行われていると。本来、この紙で行われている業務が全てデジタルデータで行われていれば、例えば、今ここで困っている子供の過去の記録はどこにあるだろうというのをファイルを漁って探さなくても、データベースを検索すれば一発で出てくるわけであります。こうした理想像をしっかりと定義して業者さんに伝えて、でも今はこうなんですと、このギャップを何とか埋めたいですというのをしっかり提案した上で、事業者さんのほうから得意な領域のシステム開発であったりとか、そういったノウハウをお互い持ち寄ることで、新しい企画が生まれるというような形になっております。

 この逆プロポーザルという仕組みがいいなと思うのは、役所の皆様の事業者の方々に対するとらえ方が変わるというような側面もあるかと思います。基本的にこの逆プロポーザルにおいては、役所の方々から見た事業者は、いわゆる業者ではないわけです。発注をかけて何か仕事をしてもらうわけではなくて、課題を解決するパートナーとして、外部の企業を認めて一緒に課題解決に取り組めると、そういった、実際に課題を解決すること以外にも波及していくようなメリットもあるというふうに考えておるんですけれども、そうした逆プロポーザルという仕組みを通して、外部の事業者との関わりが変わっていくというメリットもあるかと思いますが、そのあたりいかがでしょうか。

ただいま御質問いただきました内容につきまして、お答えをさせていただきますと、これまでそういう事業者との間の関係性といいますのは、行政側、自治体側は、あくまでも発注する側、事業者側は受ける側ということ、この関係というのが我々当然であると。それを少し発展させたというか、少しその以前のところで公民連携を図れるというようなやり方を最近行っておるのがサウンディングというやり方です。ただこのサウンディングというやり方は、あくまでも方法論について、どういうやり方がいいのかということを企業から提案していただくようなものですので、基本的な関係性というのは何も変わりがないということです。今、議員がおっしゃっていただいたような逆プロポの方式というのは、我々はっきり言いますと、もう今までの発想も全く180度変えないとやっていけないというものだと私自身は感じました。それで、これがこれまでそういった企業さんとの会話をあえてできなかったところというのは、やはり行政側としては、予算の問題であったりとか、それから特定の企業とそういった交渉するということが何らかの公平性を欠くんじゃないかと、そのあたりがやはり足かせになっていたところでございます。

 予算に関しましては、行政、自治体でありますので、やはり継続性ということを考えますと、一度やってだめだったから止めますというようなことはやはりできませんので、そのあたりがやはり今までの障壁になっておったんですが、この逆プロポというやり方は、まず自治体側で予算がかからない、むしろやる際には、企業さんのほうから寄附を頂けると。そして、企業さんと課題について、同じ目線の高さで取り組めるというところが、それがすごくメリットであります。ですので、一番メリットは、やはりその過程にあるんだと思います。また、そういった実際に実証するような形になって、それが終わった後も、その実証を通じて、まず職員のほうにもいろいろ気付きが生まれると思います。それは今までの目線とは違った、まさに住民のほうから見てどうなのかということを本当に考えられるような機会になるんじゃないかと思いますので、企業さんとのそういった形での官民共創というような目線でやっていくことには大変意義があるというふうに考えております。

ありがとうございます。今までのやり方の課題点から、この逆プロポのメリットについても御説明いただきました。おっしゃっていただいたように、基本的に逆プロポーザルでは、自治体側が企業に対して提案をさせていただいて、企業側が、ああ、その企画に乗りたいとなったときに、企業側が寄附をする仕組みというところで、本当に自治体側としては、始めやすい、取り組みやすいような仕組みではないかと思います。

 今、御説明いただいたように、もともと今まではゴールがばちっと決まっていて、それに対する行き方も決まっていて、このやり方をやってくれる業者さんを選ぶというようなプロセスだったかと思います。今おっしゃっていただいたサウンディングであったりとか、プロポーザルというものは、ゴールは決まっているけれども、それに対する行き方はいろいろあると思うので、様々なヒアリングをしたりとか、提案を募集することで、一番いい行き方を探していきましょうというやり方かと思います。この逆プロポーザルというのは、まずどこに行くかというところ、何が課題なのかというところ、将来どういうふうなまちにしていくべきなのかというところの設定するところから一緒になって話をしていきましょうと。ほんで同じ方向に行くことが明確にした上で進んでいくというところが、本当に従来と違うところなのかなと思います。

 部長、最後おっしゃっていただいたように、このプロセスを踏んでいただくことに非常に意義が大きいかと思います。企業との連携という中で考え方が変わるだけではなく、やはり住民の皆さんと協働のまちづくりを行っていくという文脈においても、町があって、住民の方がいるというのではなくて、しっかりと本当の意味で一緒になって考えていくというような頭の使い方ができるような仕組みかなと思いますので、ぜひ前向きに取り組んでいただけたらと思います。

SNSでも情報発信しています!

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です